Analyses of the change of the relation of hierarchy consciousness and value orientation by “settling down”

本研究は、生活上の目的や生きかたについての価値志向と「家を持つこと」との間の交互作用の影響について分析する。その影響は、人々がもっている主観的な階層意識について分析される。階層意識は、2つの意識にっいて測定され、第1は、社会階層上での自らの位置づけであり、第2は、資産の格差の社会的な分布についての意識である。前者を階層帰属意識、後者を資産格差認知意識とする。扱う価値志向は、伝統志向・反物質志向・社会貢献志向・性役割志向・地位志向の5つである。そのうち、(1) 伝統志向と住居所有は、階層帰属意識に対して交互作用効果を持つということと、(2) 反物質志向と出身家庭での住居所有は、資産格差認知に対して交互作用効果を持つということが明らかとなった。価値志向の階層意識への影響形態は、住居の所有・非所有を通じて、非線形的な形となってあらわれる